回折格子、位相板
回折格子
多数の溝を正確に等間隔にならべて、光の分光や光束の分割を行うものです。
回折格子には機械的にダイヤモンドカッターで刻線した機械刻線回折格子と、フォトレジスト光干渉または電子ビームにより干渉縞を焼付けて作製したホログラフィック回折格子とがあります。
用途は、一定の波長の光を複数の光に分割したり、光の波長によって回折角度が異なることから分光器として用いる場合が多いのです。回折格子は形状別にいくつかの種類に分けられます。
細い金属線で光を透過させない均一の部材を周期的に配列し、光を透過させて回折光を得るものを透過型振幅格子といいます。
周期的な溝を光の吸収がない平面板に形成したものを透過位相格子といいます。
このような透過型格子では部材の分光透過率が問題になるので、以下のような反射型の振幅格子や位相格子もあります。
表面にアルミニウムや金のコーティングをしたものが用いられます。
また、特定の波長に対して特定の次数の回折光を特に強くするように、格子溝に角度を持たせた格子をブレーズド格子と呼び、θをブレーズド角といいます。
位相板
入射光に位相差を与えるために光学系に挿入される透明な光学板で、結晶位相板と光学ガラス位相板の2種類があります。
【結晶位相板】
互いに直交する振動面をもつ直線偏光成分を透過させたとき、2つの成分に光路差を発生させる一軸結晶板(水晶等)で、直線偏光を円偏光にあるいはその逆に変換する働きをする1/4波長板や偏光面を90°回転させる1/2波長板があります。
入射光の波長をλ、結晶板の厚さをt、直交する2つの直線偏光成分に対する結晶の複屈折率をn1、n2とすると、その位相差は
(2π/λ)(n1-n2)t
となります。
【光学ガラス位相板】
平行平面の光学ガラス板の表面の一部に屈折率n、厚さtの等方性材料の透明な薄膜を形成したもので、膜の有無により入射光に位相差を発生させるものです。
その位相差は、
(2π/λ)(n1-1)t
となります。
この位相板は位相差顕微鏡に使用されます。
波長板が1/4または1/2波長の位相差の厚みをもつとき、ゼロオーダーの波長板といい、射出面での位相差が1/4または1/2波長の整数倍であるとき、マルチプルオーダーの波長板といいます。
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