レーザ光学系
レーザ光の特性
レーザ光は普通の光に比べてコヒーレンス(干渉性)がきわめてよいのが特色です。
その結果として、レーザビームは鋭い指向性をもっています。いま、レーザの発振波長がλ、レーザビームの直径がDであるとすると広がる角θは、
で与えられます。
例えば直径2mm、波長500nmのレーザ光の場合、光束の太さは 10mで2.5mm、100mで2.5cmとなります。 このようにレーザ光は平行度がよく、広がりの少ないビームですからレンズで集光すると 波長の数倍程度の小さな点に集光することができます。
そのためレンズの焦点で得られる エネルギー密度は非常に高い値となります。
ルビーレーザや炭酸ガスレーザを使うと、 エネルギー密度は太陽光で得られる値の数万倍にも達します。
発振波長がλのレーザをレンズの焦点距離fの位置に集光したときの焦点径ω0は、
で与えられます。ここで、ωはレーザ光のレンズの位置でのビーム半径です。
レーザの応用分野
まずレーザ光は単色性がよいので、光ファイバーの中を通して光通信の搬送波に使うことができます。また、干渉性がよいのでホログラフィーや干渉を利用したいろいろな計測に使われています。
たとえば、レーザ測距儀は何十kmも離れた2点間の距離を、1kmあたり1mmの精度で測ることができます。
指向性のよいことを利用すると、月までの距離を正確に測ることもできます。
地球からレーザ光のパルスを発射して、それが月面の置かれた反射鏡からもどってくるまでの時間を測ればよいのです。また、レーザ光を大気中に送り出し、気体分子から反射してくる光を調べると、分子の種類と量がわかって大気の汚れを測ることができます。
レーザ光はエネルギー密度の高いスポットが得られるので、いろいろな加工に用いられます。たとえば、ガラス、宝石、金属などの穴あけ加工。手術用のレーザメス、網膜剥離の治療
などもあります。さらに、強力な炭酸ガスレーザで重水素・三重水素の核融合を起こすこともできます。
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