「光学の基礎」

(第6回)


4. 顕微鏡の光学系

      図は顕微鏡のレンズ配置です。
      物体に近いレンズを対物レンズ、眼に近いレンズを接眼レンズ
      といいます。
      図ではそれぞれ1枚の凸レンズで代表させていますが、実際には
      収差をとるため何枚ものレンズを組み合せた複雑なものになります。
      物体は対物レンズ(L1)によって拡大され、接眼レンズ(L2)
      の物焦点F2の近くに結像し、接眼レンズによってさらに拡大され
      その像を目で観察することになるのです。
      接眼レンズは拡大鏡・ルーペとして働ているのです。
      対物レンズの像焦点F1´から中間像P1´までの距離を光学筒長
     (Δ)と呼びます。標準的な生物顕微鏡では約150mmですが、
      対物レンズの倍率やレンズ構成で異なります。

      対物レンズの焦点F1´と接眼レンズの焦点F2´との間隔をΔ、
      明視の距離をD、対物レンズ、接眼レンズの焦点距離をそれぞれ
      f1、f2とすると顕微鏡の倍率は
      おおよそ、

     で与えられます。対物レンズは倍率が4倍から100倍のもの、
     接眼レンズは倍率が5倍から15倍のものがよく使われます。
     ここで、焦点距離f1とf2を小さくすれば倍率がいくらでも
     大きくなるかというとそうはいきません。それは光が波であるため、
     回折を起こすからなのです。
     顕微鏡で見分けることのできる2点間の最小距離(d)、つまり
     分解能は対物レンズの開口数をNA、光の波長をλとすると

    で与えられます。この式から分解能は波長が短くまた開口数が大きい
    ほど高くなることがわかります。
    開口数は対物レンズの種類によっていろいろな値をとります。この値
    が大きくても1程度とすると、分解能の限界はおおよそ光の波長の
    半分程度と考えればよいことになります。
    ここで気をつけなければならないことは、接眼レンズや顕微鏡写真で
    拡大することは、ただ対物レンズによる拡大像を眼に見易くするため
    のもので、分解能がよくなるわけではないということです。
次回へつづく・・・。
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