(第19〜21回)

反射鏡系
   
@	球面鏡
    球面の表面を反射面とするもので、凹面鏡と凸面鏡があります。
  この場合の焦点距離は、曲率半径をrとすると
              
   となり、凹面鏡の場合はrをマイナス、凸面鏡の場合はrをプラスとします。
  したがって、
           凹面鏡の f>0
           凸面鏡の f<0
  となります。                   
    
A	裏面球面鏡
   
    上述の表面鏡は、反射率の経時変化や周囲環境での耐久性に問題が生じます。
  そこで単レンズの第1面を屈折面、第2面を反射面(裏面鏡)とした反射鏡があります。
  この反射鏡の特徴は、耐久性・汚れの影響が少ないことと屈折面を収差補正に使えること
  です。有名な例がマンギン鏡とよばれる裏面型凹面鏡です。

      
      これは、マンギン(Mangin)が球面収差の少ない凹面鏡として1876年に
      発明したものとされています。
      第2面を非球面にすると、球面収差・コマ収差が大幅に減少できます。
   
B 2面球面鏡
天体望遠鏡に用いられる反射光学系は2面の球面鏡からなります。
反射系の利点は、屈折系に比べ色収差が無く全長を短くすることができます。
しかし、中央部に遮蔽を生ずる欠点があります。

    
カセグレイン(Cassegrain)タイプ反射鏡は天体望遠鏡の
反射対物系として用いられます。
天体望遠鏡では、収差を除去するために第1鏡を凹面放物面鏡、
第2鏡を凸面双曲面鏡とします。これに平面鏡を付け加えて望遠鏡の
耳軸(トラニオン)方向に光線を取り出す方式をナスミス式といいます。
「すばる望遠鏡」はカセグレン焦点とナスミス焦点をもつ望遠鏡です。

カセグレン鏡と似ていますが、小鏡に平行光束に近い光線が入射して、
大鏡の曲率中心の近くに結像します。
シュヴァルツシルド(Schwarzschild)タイプの反射鏡は
主に顕微鏡対物レンズに用いられます。
顕微鏡の対物レンズとして使用される場合にはF'近くに物体があって、
図の逆方向に光が進むことになります。

      
ウイリアム・ハーシェルは鏡面を傾けて使用しました。
このように光軸と傾いた光線を利用する光学系を
軸はずし(off axis)光学系といいます。
   
[補足]  
天体観測の精度をあげるには、口径の大きな望遠鏡が必要となります。
しかし、直径が何メートルにもなるようなレンズを作るための均質な
ガラス材料を得ることはほとんど不可能なため、大きな天体望遠鏡は
すべて反射型となっています。
 
C	反射屈折系

  単レンズと反射鏡とを組み合わせた複合型光学系を反射屈折系、
  反射屈折レンズ、カタディオプトリック系などといいます。
  球面反射鏡だけでは収差は補正できないため、
  非球面化(放物面鏡等)により収差補正を行いますが、
  球面反射鏡と単レンズを組み合わせることにより補正が可能です。
 

    
1眼レフカメラ用のミラー型望遠レンズは、マンギンタイプの
凹面鏡と凸面鏡を組み合わせ、さらにレンズにより収差補正
した光学系です。
 D	望遠鏡の分解能
    望遠鏡にも光の回折のために分解能の限界があります。
    地上から見た2つの星が近づいていると、それぞれの
    回折もようが重なって1つの星のように見えてしまいます。
    2つの星に分かれて見える限界の角度を、望遠鏡の分解能
    といいます。
    いま、対物レンズの半径をR、光の波長をλとすると分解能σは、

   となり、550nm(緑色)に対する直径5mの望遠鏡の分解能は
   約0.03秒となります。
   実際に地上から星を見るときは、大気がゆらいでいるために
   このような分解能は得られず、1秒程度になってしまうということです。  
  第1〜18回の話も読みたい方、ご質問等は
  気軽に  reception@sankyou-kogaku.co.jpまでご連絡をお願いします。

  第1回 歴史、光の反射
 第2回 光の屈折
 第3回 光のスペクトル、光の色、物体の色
 第4回 光の干渉、回折、偏光
 第5回 単レンズの概要
 第6回 顕微鏡の光学系
 第7回 望遠レンズ、テレコンバータ
 第8回 写真レンズ
 第9回 レーザ光学系
 第10〜12回 プリズム
 第13回 回折格子
 第14回 位相板
  第15〜16回 収差
  第17〜18回 各種単レンズ