(第10〜12回)


  9.プリズム
   光を屈折するためのみがかれた側面を、少なくとも2つもつ透明体の角柱をプリズムといいます。
  
  (1)直角プリズム
 
    45°の稜を2つ持つ最も基本的なプリズムで、1面のみを反射面とする場合と2
    面を反射面とする場合があり、光の偏向や像の回転に使われます。
    反射面にはAlなどの膜をつけ反射率を上げますが、研磨面のままで高い反射率を
    持たせる場合(以前、「全反射」の項で説明)もあり、全反射プリズムといいます。
    但し、基準光線以外の光線では全反射が生じない場合があるため、特に入射光線の
    ひろがり角が大きいときは、なるべく屈折率の高い材質を用いて全反射の許容角を
    大きくする必要があります。
  
  
  (2)タブプリズム
    
    基準光線が屈折面で大きく屈折し、入射光線と屈折光線が一直線上にあります。
    1回反射なので、基準光線を軸にプリズムを回転すると像は2倍の角で回転し、
    イメージローテーターの役目をします。    
    このプリズムの場合、光線が厚い平行平面板を大きな入射角で通ることになるため、
    非点収差が発生します。このため、光学系の中で平行光線となる位置に置く必要が
    あります。

  
  (3)ポロプリズム
 
    倒立した像を正立させるためのプリズムです。
    
    2回反射の直角プリズム1個により上下、もう1個により左右を逆向きにするので、
    結局上下左右が逆向きとなります。

  (4) 屋根型プリズム

          ダハプリズムともよばれます。
          直角プリズムの斜辺に屋根型の反射面をもつプリズムで、屋根面により像が逆向きになる特性をもちます。
          顕微鏡や望遠鏡のような精密な光学機器に使われる場合は、屋根面は全反射ではなく、AlやAgのような
     金属膜を着けます。
    (5) コーナーキューブプリズム

           立方体(キューブ)の隅部(コーナー)を対角線に垂直な平面で切りとったようなプリズムです。
    

           光の入射方向に必ず反射をするので、各種の反射光学部品として使われます。
           鏡面の直角度は高精度が要求され、レーザ用や干渉計用には1〜2秒以下のものが用いられます。

    (6) キューブビームスプリッター

          2つの直角プリズムの斜面に半透過膜を施し、その斜辺どうしを接合したものです。
     半透過膜は、反射率、使用波長域、偏光特性を考慮して金属膜、誘電体多層膜、
     あるいは両者を組み合わせたハイブリッド膜でできています。
     この膜の反射/透過特性を変化させることにより、50/50、30/70、
     70/30などの分岐比が得られます。
  
  次回は回折格子の話です。

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