「光学の基礎」

(第1回)

    はじめに

      私たちの身の回りには、思わず「わっ!きれい」とか「あれ?不思議」と言える、
      例えばダイヤモンドの輝き、虹、シャボン玉の色、夕日、お風呂の中で手足が近く
      に見えるなどなど、光によるさまざまな現象をみることができます。これらのこと
      をもう少し掘り下げて、どのようにして起こっているのかを考えてみたいと思いま
      す。そのために「光学」というものを身近に、そして解り易く捕らえるところから
      はじめようと思います。


1.歴 史
まずはじめに、「光学の基礎」を築いてくれた“先人たち”について見てみましょう。 1−1.光についての学説 光の直進と反射についてはユークリッド(紀元前4世紀頃)とプトレマイオス (150年頃)らによって記述されたものがあります。 ギリシャ時代にはピタゴラス学派とよばれる人たちは、「見るということは、 目から見られる対象への熱気の発散である」といい、デモクリトスたちは、「光 は対象から発散されて目に飛び込んでくる粒である」と考えたそうです。 一方、アリストテレスは「視覚は目と見られる対象との間に存在する媒体の運動に よって起こる」と考えたそうです。 現代風にいうと、デモクリトスは“光の粒子説”をアリストテレスは“光の波動 説”を唱えていたことになります。 1−2.諸発見 (1) 屈折の法則 オランダのスネル(1591〜1626)が実験によりこの法則を見出していたが、 「入射角の正弦と屈折角の正弦の比は、入射角によらず一定である」という表 現にしたのはデカルト(1596〜1650)でした。 (2) 回折の発見 イタリアのグリマルディ(1618〜1663)は、光が不透明な物体に当たると、影 の 部分へ折れ曲がって進むことがあることを述べており、回折現象の発見者と されています。 (3) 干渉の発見 フックは水の上に広がった油膜など、薄膜の表面で反射した光と裏面で反射し て表面外に 出てきた光との間の時間的なずれが、色として感じられると述べて います。
2. 光の反射
(1) 反射の法則 
入射光線(PO)と入射点(O)に立てた境界面の垂線(ON)と反射光線(OQ)とは 同じ平面内にあって、入射角(i)と反射角(j)とは等しくなります。 i = j   ※今、自分の身長の半分の長さの鏡があれば全身を見る(観る?)ことができます。
    (2) 鏡の回転
           入射光線(PO)の方向を変えないで鏡面(MM)を角度θ回転すると、反射光線(OQ)は
         2θ回転することになります。

         反射光線の回転角=鏡面の回転角×2

 (3) 反射率
         光線が垂直入射するとき、すなわちi=0の場合の反射率は、

                   R={(n−1)/(n+1)}2

         と表されます(フレネルの式)。

         これから屈折率nの高い材料の表面は反射率が高くなることがわかります。
         ダイヤモンドの屈折率がn≒2.4と高いために、カット面の輝きがガラスとは
         比較にならないほどであることが理解できます。(ダイヤモンドの輝きのヒミツ
         は後述します) 
         また、空気から光学ガラスn=1.5に光が入射すると反射率は4%になります。
         レンズは2面あるので、1枚のレンズを通過すると8%の損失になります。
         これがズームレンズで40面あれば、透過光は20%になってしまいます。
         後で説明しますが、反射防止コーティングがなければとても使えないものになっ
         てしまいます。
次回へつづく・・・。